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会社に「頼らない」時代。新卒で入社した企業で定年まで過ごすとは限らなくなり、社内のみならず、社外でも通用するビジネススキルを獲得することの重要性がますます高まっています。一方、成長意欲はあるものの、日々の膨大な業務に追われ、平日のほとんどを「残業」で費やしてしまい、スキルアップのための時間を捻出できずに悩むビジネスパーソンも少なくないのではないでしょうか。

先進的な社会制度を備えることでも知られるスウェーデンでは6時間勤務を実施する企業が注目され、日本でも「新しい働き方」を取り入れる企業が増えてきています。今回は、いくつかの事例から「新しい働き方」ついて考えたいと思います。

スウェーデンで増える「6時間勤務」

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先進的な社会実験を行うことでも知られる北欧国家のひとつ、スウェーデンにおいて、このような報告が相次いでいます。同国では、スタートアップから高齢者向け住宅まで、様々な職場で6時間勤務制の導入が開始。イエーテボリのトヨタ・サービスセンターは、6時間労働制に切り替えてからすでに13年が経過しているほど。

導入後は、ストレスが軽減されたことによって、従業員の仕事の質が劇的に向上しただけでなく、離職率が低下。人材獲得の面でも良い影響が出ているといいます。

日本でも、スタートトゥデイが「6時間勤務」を導入。

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「ZOZOTOWN」で知られるファッション通販大手のスタートトゥデイでは、仕事が終われば6時間の勤務で帰宅することを認める制度「ろくじろう」を実施しています。午前9時から午後3時まで、昼休憩なしで6時間、集中して働くワークスタイルですが、6時間の労働のみでも、8時間分の報酬を得ることができます。

また、6時間勤務は強制ではなく、8時間労働を行う社員もいますし、昼ごはんに出る社員もいるそうです。同社の前澤社長は、「ろくじろう」の導入により、無駄な資料作成やミーティングが減り、従業員の間での本質的な会話が増えたと成果を語ります。

インターン生の“死“をきっかけに、米ウォール街でも「長時間労働」を是正する動きが

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スウェーデンや日本のスタートアップ企業で6時間労働の導入が始まっている一方、過酷な労働環境で知られる国際金融の中心地、ウォール街においても「長時間労働」を是正する動きが広がっています。

実際、米ゴールドマン・サックスは、インターン生に対し、午前0時以降の残業を禁止。バンク・オブ・アメリカのロンドン支店において、ドイツ人のインターン生が急死したことから、ワークライフバランスを重視する流れが急速に広がっており、「長時間労働」が当たり前の企業カルチャーを変革する動きが徐々に現れてきているのです。

優秀な人材はウォール街からシリコンバレーへ

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ウォール街の金融機関が「長時間労働」の是正に動きだし、ワークライフバランスを重視し始めた背景には、シリコンバレーとの激しい人材獲得が挙げられます。リーマンショック以前は、アメリカの超一流のビジネススクールの卒業生は、「最高の給与」と「最高の地位」を求めて、迷うことなく、ウォール街の金融機関への就職を目指しました。

しかし、リーマンショックを機に、事態は一変。ウォール街の行き過ぎた「拝金主義」への風当たりが強くなったことに加え、ゴールドマン・サックスのアニュアルレポートによれば、2014年の従業員1人あたりの報酬は、2007年から43%も低下していることが明らかになっており、給与面でも、就職先としてのウォール街の魅力はますます低下しています。

従業員が最高の環境で勤務できるよう、いたれりつくせりの環境を用意するシリコンバレーのテクノロジー企業と比較すると、ウォール街の金融機関は人気で見劣りしているのが現状なのです。

最後に

業種を問わず、多くの企業が優秀な人材の確保をめざし、ワークスタイルの変革に本格的に取り組みはじめています。日本でもスタートトゥデイのような新興企業だけでなく、総合商社の伊藤忠商事が、ワークスタイル変革の取り組みとして20時以降の残業を原則禁止し、注目を集めました。最近では加藤勝信 一億総活躍相も伊藤忠商事の「働き方改革」を視察するなど、政府レベルでも「働き方」について関心が高まっています。

しかし、何より大切な事は私たち一人ひとりが「新しい働き方」を実践すること。現行の制度では難しい面もありますが、今、大手企業を中心に副業解禁などの動きが活発です。環境が整ったとしたら、どうすれば短い時間でも生産性を向上できるのか、筆者自身も自問していきたいと考えています。

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勝木 健太

勝木 健太

京都大学卒業後、三菱東京UFJ銀行に入社。現場、本部と合わせて4年間勤務する。現在は外資系コンサルティングファームにてコンサルティング業務に従事する一方、コラムニストなどの活動も行う。ブログ「RESSENTIMENT」を運営。