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睡眠時間6時間未満の人にしのび寄る「睡眠負債」。命を削る行為、あなたはしていない?

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パラレルワーカーは「睡眠負債」に蝕まれがち!?

「昨年の夏、家族(妻と子ども4人)が帰省していた間に、生活改善したんだよ~。何したかって、睡眠時間増やしたんだ。これまでは早く寝てもだいたい4〜5時間くらいで目が覚めちゃうから、ショートスリーパーなのかも?って思ってた。でも夏の間に睡眠時間を伸ばして7〜8時間寝るようにしたんだよね。そうするとやっぱり頭がスッキリするよねぇ〜……」

これは当Webマガジンの編集長を務める、パラレルワーカー・廣が前回の企画会議の際に発していた言葉。

ご存知の方もいるかもしれませんが、廣は商社管理職という1枚目の仕事を持ちながら、NPO二枚目の名刺の代表を務め、4人の子どもを育てています。「忙しくても睡眠時間4時間半あればやっていける」と言い、短時間睡眠を続けていました。

しかし、

「やっぱりね、寝ないとダメだよね。“睡眠負債”も気になるし」

そうしみじみと語り出したのです。

編集スタッフの筆者は、虚弱体質のフリーランスですが、複数の仕事と育児のバランスがうまく取れず、たまに疲労困憊、思考停止、起きられないなどの症状に陥ることがあります。もしかして“睡眠負債”が影響しているのかも!?

「パラレルワーカーに睡眠負債はつきものなのかもしれませんねぇ〜……」

という話になったのですが、2枚目の名刺を持ちたくても、複数の仕事をしたくても、何をするにも体が資本。

パラレルワークを実践する皆さんの睡眠負債が溜まっているのであればどうにかしなければ!と、最近話題の睡眠本の中でも、睡眠負債の解消がテーマになっているこの本をご紹介することにしました。

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命を縮める「睡眠負債」を解消する 科学的に正しい最速の方法(白川修一郎/祥伝社)

 

成人の約4割が抱える「睡眠負債」とは?

どんなものかはわからなくても、「睡眠負債」という言葉に何となく聞き覚えがあるという方もいるのではないでしょうか。

実はこの「睡眠負債」、2017年のユーキャン新語・流行語大賞トップ10に選出されています。

「sleep debt」を直訳した「睡眠負債」は、ただの睡眠不足にとどまらず、睡眠不足の累積(=負債、借金、責務)という“返済すべきもの”といったニュアンスを含んでいるワードなのだそう。

日本人の「働きすぎ=睡眠時間が取れない」という問題が表象化したがために、「睡眠負債」という言葉に光が当たり、その危機感とともに、労働時間を短縮しようという「働き方改革」が進んできたという側面もあるのでしょう。

それでも「1日の平均睡眠時間が6時間未満の日本人の割合は、ここ数年で増加傾向にあり、20歳以上に限ると39.5%もいる」という、2015年の厚生労働省「国民健康・栄養調査」には衝撃を受けざるを得ません。

「睡眠時間は7〜8時間が適当である」ということは、おそらく多くの人が知っている“常識”であるにも関わらず、約4割もの社会人が6時間未満しか睡眠を取れていないだなんて……。

本書には、「日本人はこれまで睡眠を削ってでも仕事をしてきた、自己犠牲を美徳としてきた国民性もあり、世界最大級の睡眠負債大国になった」という記載がありますが、心当たりがある方も多いのではないでしょうか。

 

睡眠負債が引き起こすコワ〜い不調

うつ、ストレス、がん、アルツハイマー、高血圧、肥満、学力低下、集中力低下……。

本書では、これらの症状が、睡眠負債が溜まることで起きる“破綻”であると述べられています。

また、睡眠時間が6時間以下の人の死亡率は2.4倍に、過去24時間で4時間以下の睡眠しかとっていない人が事故を起こす危険率は11.5倍に増えるという研究結果も紹介されています。

たかが寝不足とあなどっていると、2枚目の名刺を持つどころの話ではないほど、深刻な病気や事故につながる危険があるのです!

 

あなたは大丈夫?睡眠負債度をチェックしよう

皆さんは今、睡眠時間を何時間とっていますか?

もしかすると、「睡眠負債が溜まってるかも……」と思われている方もいるかもしれません。

睡眠負債は様々な症状で現れるようです。

さっそく本書で紹介されていた「睡眠負債簡易チェック」で確認してみましょう。

睡眠負債簡易チェック
・朝、起きる時刻に、なかなか起きることができない。
・休日(休養日)は、平日(勤務日、登校日)よりも2時間以上長く眠らないと体が持たない。
・平日(勤務日、登校日)の午前中に、眠くてたまらないことがしばしばある。
・夕方(夕食後)にうたた寝をしてしまうことがしばしばある。
(出典:命を縮める「睡眠負債」を解消する科学的に正しい最速の方法)

いかがでしたか?

1つでも当てはまる人は、睡眠負債が溜まっている可能性があるのだそう。

もう少し自分の睡眠負債の蓄積レベルをチェックしたい人は、世界保健機関(WHO)のサポートで作成された「睡眠セルフチェック(アテネ不眠尺度)」を試してみてください。

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(出典:https://www.jes.ne.jp/self-check/sleep.html

このように簡単なチェックシートで、自分が不眠症でないかどうかを確認することができます。睡眠負債や不眠症の恐れがある方は、取り返しがつかなくなる前に返済したいですね!

加えて大切なのは、自分の睡眠の状態や寝室の環境がどうなのかを確認しておくこと。自分に睡眠負債が蓄積しているのか、あるいは蓄積しやすい状況なのかをより一層知ることができるリストも本書では紹介されているので、気になる方はチェックしてみてください。

パラレルワーカーにオススメ!睡眠負債の返済方法

では、睡眠負債本書に紹介されている睡眠負債の解消法の中から、2枚目の名刺を持つビジネスパーソンがすぐにできそうなものをいくつかピックアップしてご紹介しましょう。

1)起床後すぐに太陽の光を浴び、体内時計をリセットする

体内時計の正常化に最も効果を発揮するのが朝日。30分程度朝の光を浴びるのが良いようです。さらに午後1時間以上太陽の光を浴びるようにすると、夜間に眠りホルモンがたくさん分泌されるそう。日の当たる場所で朝食やランチを摂ってみてはいかがでしょうか。

2)朝食と夕食の時間をなるべく一定に保つ

代謝のリズムを支配する体内時計は、肝臓や小腸などの内臓に存在するため、適切に調整しようと思ったら、毎日の朝食と夕食の時間をほぼ同じにした方が良いのだとか。またこのようにすることで、体温リズムのメリハリも整い、睡眠の質も高まるそうです。 

3)晩ごはんは寝る3時間前までに済ませる

また胃に食べ物が入っていて消化活動が活発に行われていると、体は睡眠モードに入れないため、夕食は遅くとも寝る3時間前には済ませておくべき。睡眠負債蓄積の原因となるアルコールも、就寝3時間前でストップを! 

4)寝る30分前からスマホを使用しない

食事同様、寝る前に控えた方が良いのは、スマホ、パソコン、タブレット等の電子機器。ブルーライトが眠りホルモンであるメラトニンの分泌を強く抑制してしまうのだそう。30分前にはOFFしないと、寝つきが悪くなるので要注意です。

5)温度、湿度などの睡眠環境を整える

四季にマッチした寝装具を使った場合、睡眠の最適温度は、冬は16〜20℃、湿度50%以上、夏は25〜28℃、湿度70%以下。快適な寝室環境を整えることで、深い睡眠が得られるとか。また自分好みのフロンカバーやシーツ、安心できる壁紙やカーテンを使うと良いみたいです。

どれもちょっとした工夫や心掛けでできるものばかり。特に睡眠負債が気になる方は、1週間ほど就寝時刻を30分ほど早め、次の週に再度30分ほど就寝時刻を早めてみると良いみたいです。ぜひ試してみてください!

さいごに:ショートスリーパーは遺伝だった!

この記事を書くことになったきっかけ(ショートスリーパーを自認していた編集長が、睡眠負債を気にしていたこと)を冒頭で述べましたが、本書に「ショートスリーパーは遺伝」であるとの記載がありました。

著者曰く、「ショートスリーパーを自覚する人は、血縁の中にショートスリーパーがいることが多く、その人たちが心身に問題なく健康長寿を保っていれば、遺伝によってショートスリーパーの体質が受け継がれている可能性がある」とのこと。

しかし、ショートスリーパーの遺伝子を持っていない人が後天的にショートスリーパーを目指すと、いずれは体調を崩すそう。またショートスリーパーの割合は200人に1人以下のようで、全くみられないとする睡眠研究者もいるとのことなので、ショートスリーパーを自認する方も、生活習慣を整え、負債が溜まらないよう意識した方が良さそうです。

睡眠不足は事故や万病の元。本業や2枚目活動で忙しくても、睡眠負債を溜めないようにしましょう。眠りのリズムを整え、深い眠りが得られる生活習慣や睡眠環境、ぜひ実践してみてくださいね。

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ライター

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編集者

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カメラマン

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はしもと ゆふこ
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女性誌出身の編集者。 「人生100年時代」に通用する編集者になるべく、雑誌とWebメディアの両方でキャリアを重ねる。趣味は占い。現在メインで担当するWebメディアで占いコーナーを立ち上げ、そこで独自の占いを発信すべく、日々研究に励んでいる。目標は「占い師」という2枚目の名刺を持つこと。