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2018年10月27日、神戸市内のコワーキングスペースに関西の公務員11名が集結。公務員×2枚目の名刺プロジェクトの作戦会議を、関西で初めて開催した。

●公務員×2枚目の名刺プロジェクトのこれまでの取り組みはこちら

NPO法人二枚目の名刺の「作戦会議」は「“2枚目の名刺を持つこと”について話を聴いてみたい」、そう思ってくれている皆さんが気軽に参加できる対話の場。関東で開催した4回の作戦会議では、2枚目の名刺に関心を持つ公務員を中心に、のべ43名が参加。

今回開催する関西での関心はどの程度だろうかとスタッフの私たちもドキドキしながらの告知となったが、蓋を開けてみると、募集開始から早々にお申し込みをいただき満席開催。関西の公務員の熱気を感じる作戦会議となった。

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参加動機からみえた問題意識

作戦会議の冒頭に、プロジェクトの目的およびこれまでの作戦会議で得られた意見や問題意識等を、プロジェクトデザイナーの島田から紹介。

●公務員×2枚目の名刺プロジェクトの目的

公務員が2枚目の名刺を持って活動することがあたりまえの社会をつくること

●これまでの作戦会議で得られた意見や問題意識

・副業禁止だし、役所の外の民間人と活動したらダメなんでしょ?
・実は活動しているんだけど、職場には隠しています。(“隠れキリシタン”化)
・職場で話したら、応援するよりも「本業は大丈夫かよ」って心配されそう。
・住民に、「公務員はそんなことしてないで本業を頑張ってください」と思われる。

今年6月に国家公務員の兼業を容認する方針が示されたが、それ以前から、関西では独自制度として神戸市と生駒市で地方公務員の副業の基準が明確化されていた。
神戸市・地域貢献応援制度
生駒市・地域貢献活動を行う職員の営利企業等の従事(副業)の促進について

参加者の中には“2枚目公務員”*1も多く、神戸市の地域貢献応援制度を活用しすでに副業としてNPO法人から報酬を受領している方もいる中で、以下のような参加動機が挙がった。

*1既に2枚目の名刺を持ち活動している公務員の意

・すでに2枚目の活動をしている(無償)が、もっと公務員に2枚目の名刺を広めたいと思っている。
・仕事で息苦しさを感じ、自身のキャリア形成に課題を感じている。
・職場内で勉強会を開催しているが、批判的な声も聞こえてくる。
・「役所で得られるものは限られている」という先輩の言葉から、もっと役所の外に意識を向ける必要性を感じ、2枚目の名刺に興味を持った。

公務員が2枚目の活動をするとき、何が障壁となるのか?
どんな出来事に対して、私たちは2枚目の名刺を「持ちにくい」と感じるのだろうか?
作戦会議では、この“見えない壁”やその“乗り越え方”について、言葉にして見える化していった。

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職場内での仲間づくり、巻き込み方

参加者の関心の半数程度を占めたのが、「職場との関わり方」。大きく分けると「職場に対する説明の仕方」「職場内の巻き込み方」の2つに分類された。
作戦会議では、実際に職場を巻き込んで勉強会等を開催している実践者から後者に関するアドバイスが共有された。

●職場内の巻き込み方の事例

・職場内研修で集まった職員の有志で自主研究会を立ち上げた。
・2~3年目までの若手職員を対象とし、仕事も2枚目の活動も積極的に取り組む係長級の職員と繋ぐ懇親会を実施。
・単なる“懇親会”に終わらせず、「他の局がどんな仕事をしているのかわからない」のような具体的な悩みを解決することで職員の課題解決やモチベーションアップに貢献。直属の上司以外との交流を通して視野の広い若手職員を育成。最近では研修所とも連携し勉強会を開催している。

具体的な事例が共有され、参加者の多くが自分事として興味深く耳を傾けていたのが印象的だった。

一方で、「大きな役所であればすぐに仲間が見つかるだろうけれど、小さい役所はなかなか仲間が見つからない」という意見もあったことが興味深かった。

職場内の人材育成面で課題を感じている参加者は多く、それぞれが自身の所属内での取り組みをスタートするべく行動を起こしてはいるものの、実際に形となって軌道に乗るまでには、“最初の一人”の相当なエネルギーが必要のようだ。

この局面で、最初の一人にとって“見えない壁”となるのは、“職場内の偏見”だろうか。

障壁の高さや乗り越えやすさは場面によって異なるようだが、実践者から具体的な事例が共有されたことに、スタッフとして作戦会議の意義を感じた。

民間人と会うこと自体タブー?!

次に挙がったのは、「やりたいことはどうやって見つけたら良いか?」という問い。

この問いに対しては、以下の見解があった。

●やりたいことを見つけた事例

①何か強烈な出来事があって志を持つ場合
②気の向くままにイベントなどに参加しているうちに、自分がおもしろいと思えることに出合う場合
の2つのパターンがあるのではないか

ある2枚目公務員からは、「公務員の世界だけで生きていると情報も少なく、視野が狭くなってしまう。民間人と交流をするようになると視野も広がるし、新しい価値観に出合うきっかけにもなる」という意見があがった。

この局面で“見えない壁”となるのは、「民間人と会うこと自体タブー」という“極端な解釈”だろう。

私たち公務員は、職務遂行の上では公平・公正の観点に配慮しなければならないが、仕事以外での民間企業や住民との交流について禁止される根拠はない

またそのような交流を通じ出会った方々が社会的意義のある取り組みを行おうとするとき、行政の制度や補助金申請の方法等をわかりやすく説明し「通訳」を担うことができれば、彼らにとって役立てるだけでなく、結果として地域の課題解決に貢献することができる。

しかし、「民間人と会うこと自体タブー」という極端な解釈が組織の中に存在しているとすれば、ルール上の正確な線引きを広く理解してもらうだけでも、2枚目の名刺が広がる可能性はあるのではないか、と思った。

できるだけハードルの低い1歩を

2枚目公務員を増やす方法として、以下のような意見もあがった。

・最終目標としては、「実は自治会の役員やってるんだよね」と言葉にするのと同じタッチで、「実は〇〇(2枚目の活動)やってるんだよね」と、誰にでも伝えられる雰囲気をつくれたら良いが、そこに至るまでには、できるだけハードルを低くし、小さな1歩を刻む必要があると思う。
・身分を明かして民間主催のイベントに参加するのはハードルが高い、と感じる公務員も多い。まずは職場内での勉強会等を開催し、公務員に限定した場を設けることで、ハードルを下げる取り組みが必要なのではないか。

ハードルの高さは人によって異なるだろうが、“公務員の世界を飛び出す怖さ”が“見えない壁”となっているのは事実だろう。

それでも、今回集まった2枚目公務員はご自身の活動を通じてたくさんのメリットを感じているからこそ、これらの“見えない壁”に課題意識を持ち、乗り越えるために熱意をもって取り組んでいるのだと感じた。

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広げたいのは、「2枚目の名刺」という選択肢

作戦会議の最後に感想を発表していただくと、次のアクションに繋がる前向きな感想があがった。

・2枚目の名刺を当たり前レベルに。
・「公務員は最高のツール!」を伝えていきたい。
・職場内で仲間を増やしたい。
・2枚目の名刺の前に、目の前の仕事から閉塞感を払拭していきたい。

中でも本質的で興味深ったのが、「なぜ(2枚目の名刺を)広げたいんだろう?」という問いだった。

2枚目の活動をしたい人はすれば良い。
興味関心のない人にまで広げる必要はないのではないか。

これに対して島田からは、「私たちのプロジェクトが目指すのは、2枚目の名刺を持つ人を広げるというよりも、(2枚目の名刺を持ちたければ)選択できる人を広げる、のだと考えている」と回答。

2枚目の名刺とは「組織を超えて自己実現するためのツール」であり、あくまでも選択肢の一つにすぎないのだと思う。それでも、「公務員が2枚目の名刺を持ちにくい雰囲気」が存在するのなら、それは解決すべき課題と言えるのではないだろうか。

「持つか持たないかを自分の意志で自由に選択できる雰囲気をつくっていけたら」、という島田の強い意志を感じたと同時に、改めてプロジェクトの意義を確認することができた。

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私たちは無意識のうちに、「公務員」という職業ありきで自分の存在価値を考えてしまいがちだが、「兼業」も「2枚目の名刺」も、もっと言うと「公務員」という職業も本来はツールであり、「幸せ」を叶えるための手段であることを、時には立ち止まって意識したい、そんな風に思った。

公務員×2枚目の名刺プロジェクトでは、2枚目の名刺により新たな扉を開く公務員を全力で応援すると同時に、引き続き、発信等を通じて2枚目の名刺を持ちやすい雰囲気づくりを目指していく。

一方で、作戦会議に参加してくださった公務員の熱気を拝見していると、セクターを超えて活動する公務員像が当たり前になり、「2枚目の名刺」という言葉が使われなくなる未来はそんなに遠くないのではないか、とも思った。

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金治 諒子

金治 諒子

公務員×2枚目の名刺プロジェクトメンバー。 母であり、妻であり、プライベートで社会活動に携わる姫路市職員。孤独な子育てを経験し最愛の子ども達の前で笑えない日々を過ごす中で、社会と自分の在り方に疑問を持ち、地域に飛び出すようになる。子ども達の世代まで持続可能な繁栄を願う。そのためにまずは、母自身が自分の人生に主体性を持って行動する。