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2017年7月。NPO二枚目の名刺で新たなプロジェクトが発足した。その名も「公務員×2枚目の名刺プロジェクト」。本プロジェクトでは、公務員が2枚目の名刺を持つことを後押しする企画を仕掛けていく。
今回はプロジェクトの発足にあたり、自身も現役地方公務員として働くプロジェクトデザイナーの島田正樹と、NPO法人二枚目の名刺代表の廣優樹に話を聞いた。プロジェクトメンバーの大竹悠介がレポートする。

 

公務員が2枚目を持つ雰囲気を作る

大竹:今日のインタビューの目的は、「公務員×2枚目の名刺プロジェクト」(以下、公務員プロジェクト)の概要と、どういう人がプロジェクトを動かしているのかを読者の皆さんに知っていただくことです。そこで本日は島田さんと廣さんにお話を伺っていきます。
まず、公務員プロジェクトの目的についてお聞かせいただけますか。

島田:目的は「公務員が2枚目の名刺を持って活動することが普通の社会をつくること」です。2枚目の名刺を持つ、つまりは役所の外で何らかの活動をすることにまだまだ前向きな見解を持つ人が多くない公務員の業界で、2枚目の名刺を持つことが当たり前になる。そんな社会をつくることが目的です。

大竹:公務員が2枚目の名刺を持って活動することが、今はメジャーじゃないけれど、ごく普通のことになって欲しいと。具体的に公務員プロジェクトではどういう活動をするのですか?

島田:今考えているのは、「雰囲気づくり」。私たちNPO法人二枚目の名刺の活動は大きく分けて「雰囲気づくり」と「きっかけづくり」がありますが、2枚目の名刺を持つ公務員を増やしたいと思った時に、大事なのは断然「雰囲気づくり」だと思うんです。
公務員にとって「きっかけ」は結構ある気がするんです。あるんだけど、いざ持ちたいと思ったときに雰囲気が重いなというのが私の実感です。だからもっと持ちやすい雰囲気づくりにつながるような活動をやろうと思います。

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プロジェクト・デザイナーの島田正樹

大竹:具体的には?

島田:事実関係として、何がハードルになっているのかを明らかにしたい。「2枚目の名刺を持っても大丈夫だよ」ということを示したいんです。
まずは制度的な話になると思います。「実際の所、本当に禁止されているのはどこまでなの?」と、ちゃんと明らかになると、公務員でも安心して2枚目の名刺をもって活動できるようになるのではないかと。
「自分のやりたいと思っていた活動って禁止されていないじゃん」、もしくは、「こういう風に手続きすればやっていいことなんじゃん」ということってあるはずなんです。

大竹:なるほど。ルールを気にして自己規制をかけている公務員もいらっしゃるんですね。

島田:その上で、「私も2枚目の名刺をもって活動してみたいな」という気持ちが湧いてくるような情報も発信したいと思っています。
どうするとワクワクしてやりたい気持ちが湧くのか。まずできることは、「2枚目の名刺を持って楽しそうに活動している人を紹介すること」かもしれません。そういう人たちを先例としてみていただくのが一番いいのではないかと思います。

大竹:ということは、島田さんが「この人いいな」と思った方にインタビューをしてお話を聞いていく感じなんでしょうか?

島田:そういうのも楽しそうですね。2枚目の名刺を持って楽しく生き生きと活動している人たちって、実は私たちのすぐ周りに、隣町の市役所などにいたりするんですよ。
その人たちが2枚目の名刺で取り組んでいる活動は、必ずしも規模が大きいわけではない。けれど、実はその人の熱い想いに端を発している熱量のあるプロジェクトだったりするんですね。その人が目指そうとしている素敵な画がそこにあったりだとか。

大竹:決して有名でないけれど、地道に地域のコミュニティの活動をしている方がいると。

役所の人材を地域で共有する

大竹:そこで、あえて公務員プロジェクトをやろうと思った課題意識はどこにお持ちなんですか?

島田:この1〜2年って、プロボノだったり複業やパラレルキャリアだったりポートフォリオワーカーだったり表現も文脈も様々ですが、「本業以外でも社会に貢献できたり、自分がやりたいと思う活動ができるといいよね」って空気が世の中で高まっていると思うんです。
その割に、公務員の業界では仕事外で「こういう活動をするのいいよね」っていう空気の高まりはあまり感じないんですね。そこのギャップはなんだろうなと思った時に、最初に申し上げたような制度的に2枚目の名刺を持つことにリスクを感じている方が多いのかなと推測しました。その辺りが、公務員で2枚目の名刺を持つ人を増やすにあたっての課題意識です。

大竹:なるほど、二枚目の名刺のプロジェクトでも公務員の参加者は少ないかもしれません。

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島田:さらに、もう少し大きく社会的に捉えて、都市部ではない地域に目を向けると、人口減少社会に突入して、地域の課題を解決しようとか、地域の中で役割を担おうとする人が徐々に減りつつある問題があります。
それでもなお、その地域に根付いて仕事をしているのが、私たち地方公務員だと思うんです。地域で担い手や課題を背負わなければならない人が減っているけれど、もし地方公務員が職場の外で何か地域のために活動したい、社会の役に立ちたいと思って、その背中をみんなが押してくれるようになったら、地域の課題を業務外で自分が担っていく地方公務員がもっと出てくるんじゃないでしょうか
私たちNPO法人二枚目の名刺としては、東京でたくさんの社会人に2枚目の名刺をもってもらう活動をしてきたのに加えて、地方に根付く公務員に着目するというのはどうかと。

大竹:仕事としての公務員だけでなく、地域として大都市圏でない場所で2枚目のプロジェクトをやるということですね。

島田:地方公務員というところに着目すれば、そういうプロジェクトもあるかもしれないですよね。
役所って地域の優秀な人材を集めてしまう傾向があると思うんです。優秀といっても、あくまで事務処理能力みたいなことに過ぎないんですけど。役所は魅力的な就職先だから地域のいろんな人たちが入りたいって言ってくれるのは事実。だから役所は採用する人を選べる立場になっている。
そのことを役所がもっと意識して、役所の人材が地域社会でどんな貢献ができるのか組織としてもっと向き合ってくれてもいいかな、という気もするんですね。

大竹:役所の職員を役所が囲うのではなくて、地域でシェアしようと。

島田:そう。仮に仕事が9時〜17時だとしたら、それ以外の時間にその人材が地域でどんな価値を生み出せるのかをみんなで考えてもいいのではないでしょうか。地域に人材を解放したらいいんじゃないかと。そんなイメージを持っています。もちろん2枚目の名刺を持つことのニーズも難しさも、都市部とは違う地域の事情もあると思うんです。でも、役所と地域課題、そして地域の人材について、私と同じような問題意識を持っている人は少なからずいるんじゃないでしょうか。

2枚目の名刺が公務員に気づきをもたらす

大竹:廣さんにお聞きしますが、課題意識を持つ島田さんからご提案を受けてプロジェクトになったという経緯なんでしょうか?

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NPO法人二枚目の名刺代表の廣優樹

廣:僕自身もパブリックセクターに12年ほどいました。2枚目の名刺ってパブリックセクターにいる人ほど持ってもらいたいという気持ちは強いですね。
二枚目の名刺は僕が前職の日本銀行にいる時に立ち上げたのですが、僕はお客さんの笑顔って見たことがないんです。経済の現場で何が起こっているのかというのも、自分が直接そこに関わっていないから、今一つピンとこない部分もありました。

大竹:私たちも普通に生活していて日銀の人に会うことってないですもんね。

廣:一方で2枚目の名刺を持っていろんなNPOの現場に行くようになり、こんなことが起こっているんだって実感して、企業はこんなことに関心があるのか、社会ってこんな風な変化が起こっているんだって、実感をもって気づくきっかけになりました。そのような感度をパブリックセクターの人間は持っている必要があると思うんです。その感度を高めておくことが良い政策作りにつながるというのが、僕の考えです。

大竹:なるほど。

廣:それから公務員って全国で330万人くらいいるんですが、その人たちが、日中の仕事以外に身動きがとりにくいという状況に違和感を感じますよね。確かにいろんな取引の歪みが生じてはいけないというのはわかる。だけど、そこで縛りすぎて本来生み出せるかもしれない価値が生まれない、ということに対しても目を配るべきだと思います。

大竹:それは島田さんがおっしゃっていることとも通じていますね。

課題解決の発見力があるのは地方公務員

廣:あとは、別の文脈なんですが、二枚目の名刺を僕らは首都圏でやっているわけですよ。社会課題の発見力があって課題解決にアプローチしている人たちが僕の中でのNPOの定義ですが、NPOと社会人とが一緒になってチームを組んでプロジェクトを推進していくプロジェクトを実施しています。「社会に価値を作ること」と「人の変化を作ること」、それが二枚目の名刺のコンセプトの一つなんですね。
ですが、社会課題の発見力あって思いを持って解決の取り組みをしているNPOのようなものが地方に行くと必ずしも多くはいないわけですよね。この設計をアレンジしないと、地方の社会人は2枚目の名刺を持てないじゃないかと。変化のサイクルは生まれないじゃなかと思うんです。

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大竹:確かに。地方にも課題解決のキーパーソンはいますが、全体から見れば一部の地域の話です。

廣:そこで思ったのが、地方にいる公務員がNPOと同じ核になる役割を果たせばいいということです。彼らは社会課題の発見力が高いと思うんですよ。地元のことをよく分かっていますから。地方の公務員が中心になってプロジェクトを立ち上げて、そこに地域のいろんな人たちがプロジェクトとして集まるということがあって良いんじゃないかと思っているんです。

大竹:大都市圏とは違う、地方における2枚目の名刺のモデルですね。

廣:そういうことを「やってもいいよ」と言うのか、「なにやってんの」と言うのか。いろんな議論が出てくると思うんですよ。いまの制度上できるかどうかもよくわからないです。ですが、それを突破する首長がいて、それを立ち上げて実行して新しい価値をつくれる人が出てくること自体が、僕は社会を変えていくと思うんですね。それを生み出してみたいんですよ。
そういう意味では、公務員プロジェクトが、地方で2枚目の名刺を持ちやすくするための手段になればと考えています。

後編につづく

◆満員御礼◆10/14(土)10:00- 作戦会議「公務員に2枚目の名刺を広げるプロジェクト始めます!」
場 所:二枚目の名刺オフィス(東京都渋谷区元代々木)
内 容:公務員が庁外に出ると行政が変わる!地域が変わる!
「公務員が2枚目の名刺をもつ社会を当たり前にする」ことをミッションに、新プロジェクトを立ち上げます。題して「公務員×2枚目の名刺プロジェクト」。地域の課題に日々向き合う公務員が、組織や立場を越えて課題解決に活躍する社会をつくる。そんなプロジェクトに関心のある人は大歓迎!現役公務員の方はもちろん、公務員でない方もまずはお気軽にご参加ください!参加をご希望の方は、 お問い合わせページ(info@nimaime.com) よりご連絡ください。
※9/3に開催した作戦会議と同じ内容です。
※遠方の方はskype等でご参加いただけます。主 催:NPO二枚目の名刺
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大竹 悠介(おおたけ・ゆうすけ)

大竹 悠介(おおたけ・ゆうすけ)

ライター・編集者。まちづくりNPOなどで広報・イベントディレクション等を含む複業を実践中。早稲田大学大学院にて地域ジャーナリズムを研究した後、広告代理店を経て現職。2拠点居住やサテライトオフィスなど地方を舞台にした新しいライフスタイルに関心がある。