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働き方を変える!IT企業で働きながら子育て・地域・ライフワークに関わる生き方

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IT企業の営業マネージャーという本業を持つ三尾幸司さん(みおこうじさん 以下三尾さん)は、NPO法人コヂカラ・ニッポンへの参画、PTA会長、3人のお子さんの育児など、多くの活動を本業と両立している。

前編では、社内で実施した働き方改革や三尾さんご自身の働き方、価値観が変化したきっかけについてお話を聞いた。

ご自身が子どもを持ったことで、子どもや子育てに関心を持つようになった三尾さん。後編では、コヂカラ・ニッポンで取り組む活動内容や、複数の活動を両立させるコツなどについて話を伺った。

前編はこちら

子どものキャリア教育に取り組みたい

三尾さんは現在、『「コヂカラ」=「子どものチカラ」で企業や地域、家庭を輝かせる』ことをコンセプトに、企業とのコラボレーションや地方創生などの活動を行うNPO法人コヂカラ・ニッポンのメンバーとして参加している。

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子どもたちにコヂカラMBAで実社会で関わる内容を教える三尾さん

子育てをするようになって、子どもの教育に興味が出てきました。学校では勉強は教えても、社会人になってから役立つようなことは教えてくれないですよね。もともと人にものを教えるのが好きだということもあり、今から4~5年ほど前に『子ども向けのキャリア教育』をやりたいなと考えました。子どものためにもなるし、社会的にも貢献できて、自分の好きなこともできる。互いに、プラスになるのではと思いました。あとは、企業で働きながら他の活動もできるのだという、ロールモデルを示したかったという部分もありますね」。

そう思ったことが、現在活動しているNPO法人「コヂカラ・ニッポン」との出会いにつながったという。

「当初は、NPO法人を自分で立ち上げようと思っていました。そこでまずは、自分がやりたいことと似たようなことをやっている団体はないかな、と探して、コヂカラ・ニッポンを見つけました。フォーラムに参加して話を聞いたところ『おもしろそうだな』と思い、自分で法人を立ち上げなくても、ここなら自分がやりたいことを実現できるのでは、と思ったのがきっかけです」。

コヂカラMBAを子どもの社会との接点に

コヂカラ・ニッポンで三尾さんが実施しているのが、「コヂカラMBA」。MBAで大人が学ぶ内容を子ども向けにアレンジし、授業の中で実践させるというユニークな取り組みだ。

「MBAとはいっても、ロジカルシンキングやアカウンティングなどの高度なものではなく、『小売業の成り立ちを学ぼう』というテーマで、販売戦略、マーケティング、立地戦略などを考えたり、保険会社で実施した時は、『オリジナルの保険を作ろう』、など、子どもでも理解できて取り組める内容にしています。講義形式ではなくひたすらワークをやって、子どもたちが楽しめるような構成にしています」。

現在は、主に企業のファミリーデーや、コヂカラ・ニッポンのプロジェクトの場でコヂカラMBAを開催している三尾さん。初対面の子どもたち同士のファシリテーションなど大変な面もあるそうだが、コヂカラMBAを通じて、社会の課題や企業の課題を解決するところまでつなげることを目標としている。

参加した子どもたちには『自分の力が人や社会の役に立つんだ』ということを実感してほしいと考えています。現代は人とのつながりが希薄になりがちで、人に貢献できる場がなかなか少ないと思います。自分の力で貢献して人から感謝されれば、自己肯定感を持つことにもなると考えます。コヂカラMBAが社会との接点を持つきっかけになり、子どもたちが将来やりたい仕事を見出すことにつながればと思っています」。

PTA活動でできた新たなつながり

三尾さんが地域活動として取り組んでいるのが、小中一貫校のPTA活動。三尾さんは副会長を1回、会長を4回も経験している。とはいえ、当初は「PTA=面倒、効率が悪そう」というネガティブなイメージが強かったそう。役員決めがなかなか決まらなかったことから、半ば仕方なく参加したことがきっかけだ。

「最初の年は級長という立場で月に1回会議に出たり、あいさつ運動などのとりまとめをやったりする程度でした。次の年に、『会長をやって欲しい』と、前の会長や副会長に頼まれました。『みんなでサポートするし、入学式や卒業式の時にしゃべるだけでいいから』と言われて、引き受けることになりました(笑)」。

最初は何となく引き受けたPTA会長の仕事だったが、参加していくうちに、『学校ってこんな風に運営されているんだ』『こうやって地域の人たちとかかわっているんだな』ということが理解でき、おもしろさを感じるようになっていった。また、先生や他の保護者、地域の人たちとのつながりができたことも、楽しさのひとつだと三尾さんは言う。会長といえど、仕事をしているため集まりに参加できないことも多いそうだが、仕事に理解を示してくれる周囲のサポートのおかげで、続けることができている。

その一方で、仕事とは違う活動ならではの難しさもあるそうだ。

「企業は、『利益を上げる』などの目標に向かって社員が一緒に動きますが、PTAは必ずしも『学校や子どもたちを良くしよう』という考えを全員が持っているわけではなく、スタンスがバラバラな部分もあります。PTAに関わらず、保護者の中には『自分の子どもが一番』と考える人も少なくないですし、最近では外国の方も増えているため考え方の違いがあったり、保護者同士や対地域の人たちの間で起きる問題など、多種多様な人が関わるという点では、大変な部分はやはりありますね」。

また、ひとことでPTA活動とはいっても、学校によって違いがあるとのこと。三尾さんの学校は先生が積極的に介入して取り組んでくれるため、助けられている部分も大きいそうだ。

無理なくやりたいことに取り組む

本業、コヂカラ・ニッポン、PTA、父親という4つの役割を持つ三尾さん。複数の活動に取り組むことは、一見とても忙しそうに見える。そんな三尾さんに、仕事がある日のタイムスケジュールを聞いてみた。

「平日は、朝9~10時頃に出社するため、8時半~9時半には家を出て、途中まで子どもを送っていきます。会社ではフレックスタイム制を導入しているので、電車が混む時間帯は避け、時間をずらして出社しています。そして夜18時には、会社を出るようにしています。仕事が終わらない時は持ち帰り、自宅の子どものいる場所で作業をしているケースも多いですね」。

本業以外の活動も、時期によって忙しさが異なるという。

コヂカラ・ニッポンとPTA活動に関しては『やれる時にやる』というスタンスです。例えば夏は企業のファミリーデーが多いので、コヂカラ・ニッポンの活動も多かったり、PTAも、夏はキャンプやお祭りなどの行事が多いので、忙しくなることもあります。平日昼間のPTAの役員会に仕事で参加できない、他の会合に出られない、ということもあります。毎日フル活動しているわけではないので、ものすごく大変、という感じでもありません」。

本業とその他の活動が忙しい時期が重なってしまった時は、自分の時間や子育てブログの更新など、やりたいことをやる時間が取れずに苦労することもあるそうだが、基本的には、やるべきことと自分のやりたいことをバランス良く取り組んでいるように見える。

パートナーのサポートに感謝

忙しい毎日の中でさまざまな活動に精力的に取り組む三尾さん。支えてくれるパートナーの存在が、とても大きいと言う。

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家族がいるから変えた生き方。パートナーがいるから続けられる在り方。大事にしている家族をそっと後ろから撮影した三尾さんの微笑ましさが伝わります。

「僕がいろいろな活動をしていることに対して、妻は前向きにとらえてくれています。会社で打ち合わせがある時やPTAの集まりがある時は、どうしても妻に育児も家事も任せざるをえません。そういうときでなくても、妻は仕事がある中、家事や育児をやりながら仕事をきちんとこなしています。常に相手の負担が大きく不満に思われることもあるとは思うのですが、自分の仕事も忙しいのにスケジュールを変更してくれたり、子育てでも僕が気づかないこまごまとした部分をフォローしてくれたり、常々感謝しています」。
パートナーがスケジュールを変更してくれるその背景、子育てに対して気づかず進んでしまうような日々のやり取りに対するフォロー。
三尾さんがパートナーのことをよく観察しているから、そしてお互いのコミュニケーションをとっているからこそ、このような日々の暮らしの中で起こる事象に対しても感謝の視点を持っているのだろう。

三尾さんが取材中何度も口にしていたのが、周囲の人への感謝の気持ち。自分の力だけでなく、周りの協力なしには成り立たないことを実感しているからこそ、三尾さんの活動は多くの人に応援されているのだと感じた。

等身大で社会や子どもたち、地域に貢献しようとする姿勢は、男性はもちろん、子育てをしながら働く全ての人たちへのヒントがあるような気がした。

 

写真:海野千尋

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手塚 巧子
ライター
1987年生まれ。日本大学芸術学部卒業後、出版社勤務等を経て、ライター・編集者として活動中。ビジネス、社会問題、金融、女性・学生向け媒体など、幅広いジャンルにて記事を執筆。小説執筆も行い、短編小説入賞経験あり。