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LifeWorkS Projectがデザインする未来・会社・社会ーここから汐留のコレクティブ・インパクトが生まれる

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ライフがよろこぶ、ワークをふやそう。

2017年7月6日に汐留にて総勢200名近くの人間がソフトバンク本社の社員食堂「Festa」内に集まり、あるプロジェクトのキックオフが行われた。

Life WorkS Project
「働く」はこれから、どんどん「生きる」に近くなる。
自分自身の夢や大好きなことを見つめ直して、それを今の仕事と重ね合わせて。
1人ひとりが、自分らしいと心から言えるこれからの働き方を語り合い、仕事のカタチをデザインしていくプロジェクト。

プロジェクトの発起人である汐留地区企業人事ネットワーク「汐留キャリア・ダイアローグ」を代表してソフトバンク株式会社人事本部・日下部奈々さん(くさかべななさん 以下、日下部さん)と株式会社電通・人事局局員であり当団体の理事でもある・酒井章さん(さかいあきらさん 以下、酒井さん)が開催の声をあげるとともに、今日この場に参加した人たちの紹介が始まった。

資生堂、全日本空輸、ソフトバンク、電通、電通アドギア、日本テレビ、パナソニック、パナソニック・システムソリューションズ、三井化学、リコー(音順・敬称略)といった各企業から参加した20-30代の社員の方々、港区役所企画・企業連携担当の方々、港区に関わりのあるNPO団体、慶応・法政の社会学ゼミ生である学生たちという、普段働き暮らす日々において関わることがなかったセクター同士がこの汐留に集結した。

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LifeWorkSロゴとコンセプトを共に作ってくれたのは株式会社電通の澁江俊一さん、石田沙綾子さん。
二人とも業務としてではなく自発的に関わり、その動き自体も1つのプロジェクトになっていた。

理解・共感からどう行動につなげるのか。

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パネル・ディスカッションメンバー。左から、(株)ほぼ日取締役CFO:篠田真貴子さん(しのだまきこさん 以下、篠田さん)
ソフトバンク株式会社人事本部:佐々木力王さん(ささきりきおうさん 以下佐々木さん)、
塩尻市役所企画制作部係地方創生推進課プロモーション係係長:山田崇さん(やまだたかしさん 以下、山田さん)

Life WorkSというコンセプトは理解した。

今日ここに集まってきている人は、この言葉になにかしら自分の思いを重ね合わせようとしていることも感じる。

理解、共感から、次のステップとして、どう行動したらいいのか。

Life WorkSを体現している人として、Webサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」の運営会社である(株)ほぼ日が上場するまで組織基盤を作り上げた篠田さんと、塩尻市役所で働き商店街の空き家再生プロジェクトnanoda(なのだ)を手掛け「地域に飛び出す公務員アウォード2013」の大賞受賞し、現在は地方創生プロジェクトとして東京と地方との協働事業を展開する山田さんとのパネル・ディスカッションから“行動”に関わるヒントを探る。

「私が市役所にずっと座って悶々と居続けたらこんな風になっていないんですよ」。
今の山田さんを形成している要素をどう取り込んできたか、山田さんご自身がどう“行動”してきたかについて。
「1週間168時間(24時間×7日間)は全員一緒なんです。40時間は公務員としてお給料をもらって働くけど、その時間外は『ここまでやってもクビにならない公務員日本代表』になりたい」

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山田さんのプロフィールの中でも「元ナンパ師」という言葉が踊る。自治体職員のイメージを軽やかに壊す山田さんのこれまで。

「残り128時間は自分らしくあっていいし、ちょっと試してみる!という時間があっていいし。私は自ら作ってきました。だから多分今ここにいる」。
山田さんは2011年から勤務外の時間で塩尻市役所の若手職員を集め、若手職員意見交換会「しおラボ」を開き、「50年後の塩尻市が豊かになるために」というテーマを設定し、対話の実験場を作ってきた。
仕事の場である市役所が何も起きない場所ならば、その場所をまずは変えてみる。
自分が1歩動いてみる。それを繰り返して積み重ねてきたことを実感する。

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200名近くが集まった会場。会場の雰囲気はゲストの二人同様あたたかく笑いにあふれていた。

一方、篠田さんは働く会社を変えたことによって気がついたことがあると語り始めた。
「マッキンゼー・アンド・カンパニーという経営コンサルティング会社での私の評価は『人柄はいいけれどパフォーマンスに劣る』、次のノバルティスファーマという製薬会社では『非常に優秀で切れ味はいいけど人当たりが悪すぎる』と。たった半年で私に対する人事評価が真逆だったんです」。
「働く場所によって何が求められているか、何が大切か、が違う。違う物差しがたくさんあるということを知りました。それをきっかけに、周りの評価軸に合わせて生きていくのは無理だな、違うよなという意識ができました」。
行動に起こす前の気持ちの土台として、周りの評価とは別のベクトルを自分の中に持ったという変化があった様子がわかる。自分が今何をどうしたいか。
それは周りの考えや評価とは別に、自分の意思が通っているか。
篠田さんの行動する上での基盤ともとれる自身の心の在り方を教えてもらう。

行動にいたるまでの小さな気持ちと体の一歩

佐々木さんからは今日ここに参加した人たちの代弁とも取れるような質問が続く。
「でも時間がない!という人も多いと思います。また、上司や人事から言われて今日はここに来ました、という人だっていると思うんです。そういう人はどう動いたらいいんでしょう」

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篠田さんの言葉にグッと引き込まれる瞬間。深める問いが発せられた。

篠田さんがふいに参加者みなさんをくるりと見渡して発言した。
「皆さんは、組織のイメージとして森や海など生態系だと思いますか?それとも機械っぽいものだと思いますか?」
参加者の手がそれぞれに挙がる。双方に共感の想いを寄せた上で、篠田さんは口を開いた。
「会社には『機械っぽくならなきゃいけない』という仕掛けがあるようにも思います。だけど、今日のこのLifeWorkSは『機械じゃなくて人なので!』というところからスタートしているものですよね。皆さんもそう感じてここに来ているのでは?」改めて、何のために今日この場にいるのか。
LifeWorkSの原点を思い出させてくれる言葉が参加者に響いていた。

「うちのチームは“生態系”で会社は“機械”だなぁ」と呟いてから山田さんも篠田さんに続く。
「今いるところ、それを変える!というよりは、もう1つ別の場所で実験してみる。月に1回でもいいから。足場をちょっとずつ自分で作ってみなきゃいけないなって思っているんです」。
山田さんは勤務外の時間で塩尻市にある空き家を再生するプロジェクトとして、まずは、塩尻市役所の仲間たちで3ヶ月間空き家を借り朝7時から8時まで1時間毎日開け続けた経緯がある。
そこでは学びの場、対話の場として活動したり、地元の人たちと飲食をして楽しんだり、さまざまに活動が広がってきている。

まずは何か行動を起こす。行動を起こさなければ何も起きないんだということを、身を以て体感している山田さんの言葉に皆が頷いていた。

実際に行動し続けてきた二人だからこそ、行動の小さな一歩にどうつなげるかについても提案があった。
「オフィスが近いのだからランチを約束したらいいですよ。その時にもし可能であれば、職場の社員をひとり連れていく。そうすれば新しい知り合いがそこでまた増えるから。お互いの社食に呼び合うとか」。
篠田さんが明日からすぐに行動できそうな案を発したら、山田さんも自身が実践していることに繋がった。
「私はその場で日にちを決めること。『ランチしましょうね』ってなったら、すぐに携帯出して『いついつ?』って聞きます」。
さらに、篠田さんからはすぐに行動に移せない人に対しての提言も。
「私自身時間がなくて辛い時はありました。こどもが赤ちゃんの時で、子どもの世話と家事と仕事と自分のやりたいことが24時間では物理的に回せなかった。そんな中でも、続いた趣味があるんですよね。私の場合は読書です。『この状況でも私、本を読んでいる!』と、よっぽど好きなのだなと改めて気づきました」。
「優先順位って結構自分では気がつかない。優先順位がなんとなく上がらないなら、今やるタイミングじゃないということかも。いずれ、周りから『やめて』といわれてもやりたい時がくるかもしれません」。

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右側はファシリテーターを務めた株式会社フューチャーセッションズ代表取締役・野村恭彦氏(以下、野村さん)

パネル・ディスカッションの最後には次のファシリテーターである野村さんを引き入れて最後の問いかけに進んだ。野村さんが静かに山田さん、篠田さんに向かって投げかける。「お二人にとってのLifeWorkSとはなんだろう?」

「私自身知らない自分がまだいる。その先には見えないものがあって、一歩踏み出すのはドキドキするけど、その知らない自分の連続に出会っていくんだ、と思っています」。
そんな前を向く山田さんの言葉と篠田さんのまっすぐな一言。
「私は機械ではないんでライフとワークは切れないです。私の日常には、子どもがいて、仕事があって。自分がやったことで周りが喜ぶ、それが自分も嬉しい、ということを見つけて、それが一歩でもできたら」。
行動にうつすことの重要性と実践者との対話によって深まる行動への熱量。
それらバトンを野村さんが引き継ぎ、次は今回のキックオフにLifeWorkSを持ち込んできた人たちのプレゼンテーションと対話へと進む。

後編へ続く

写真)鈴木むつみ

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海野 千尋
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2枚目の名刺webマガジン編集者。複数の場所でパラレルキャリアとして働く。「働く」「働き方」「生き方」に特化した取材、記事などの編集・ライターとして活動している。