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本業を持ちながら、NPOへのサポートプロジェクトなど「二枚目の名刺」の活動に参加していた早瀬真理絵さんが、家族の都合でイスラエルに渡ったのは、2013年の8月。子育てをしながら、ヘブライ語学校へ通ったり、インターンをしていたという早瀬さんに、イスラエルで暮らす中で知った、イスラエル人と日本人の生き方や働き方の違いについて寄稿いただきました。(2016年9月からアメリカ在住)

イスラエル人の幸福度は日本人よりも高い

イスラエルと聞くと何を思い浮かべますか? 中東の紛争している危険な国…なんていうイメージがまず浮かぶかもしれませんね。

紛争が起きる国というのは確かですが、実際に訪れてみると、そんなことを忘れてしまうくらい、穏やかな空気が流れています。都市ごとに街の雰囲気は違いますが、ビジネスの中心地であるテルアビブは、さながらアメリカ西海岸のよう。普段はとてもリラックスした空気が流れていて、街を歩く人の表情は、首都圏の日本人に比べてストレスから解放されているように感じます。

そんな人々の様子を見ていると、「世界幸福度ランキング2016」で、イスラエルは11位、日本は53位となっているのもうなずけます。

私は、2013年8月から2016年8月までイスラエルのテルアビブに住んでいました。様々な場面でイスラエルと日本の違いを感じ、それぞれに一長一短があることを知りましたが、イスラエル人の生き方やライフスタイルから学ぶことは沢山ありました。

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夫婦で子育てできる働き方

イスラエル人は、家族をとても大事にし、生活の優先順位のトップに家族を置いています。日本のように毎日残業をすることはなく、終業時間が早いため、帰宅ラッシュで道路が最も混み合うのは夕方4時台です。

テルアビブでは、ダブルインカムで生計を立てている家庭が多く、ほとんどの場合、夫婦は共働きです。物価が高く、それに賃金レベルが追いついていないからということもダブルインカムの背景にありますが、終業時間が早いことは、男性の育児参加を容易にし、女性の仕事と育児の両立を可能にしています。

時間に融通が利く起業家が多いという理由もあるかもしれませんが、平日の夕方に子どもと公園に行くと、お父さんと子どもが遊んでいる姿を見ることも珍しくありません。

イスラエル人パートナーをもつ日本人ママが、夜に子どもをパパに預けて飲みに出かけることを気軽にしているのも、普段からパパが子どもに関わっている時間が多いからでしょう。

日本企業の駐在員である私の夫は、日本で生活していた頃ほどではないものの、遅くまで残業したり、週末出勤したりという働き方をしていました。それをイスラエル人や、イスラエル人パートナーを持つ日本人に話すと、「そんなに仕事をしているの?」と驚かれました。

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労働者が家族と過ごす時間が持てる社会

イスラエル人は、祖父母や親族も含めた「家族」の付き合いを大事にしています。例えば、イスラエルの人口の大半を占めるユダヤ系イスラエル人の多くは、シャバット(安息日)※と呼ばれる金曜日の夜に、家族で祖父母の家などに集まって食事をします。ユダヤ教の祭日においても、家族で集まって祝うことが普通です。このことは、家族の絆を強め、日常的な助け合いにつながっています。

なお、ユダヤ教の戒律で労働が禁止されているシャバットや祭日においては、一般企業や省庁だけでなく、ほとんどのお店や娯楽施設も営業せず、公共交通機関も動きません。企業が労働を課すことができないことで、労働者が休息し、家族と時間を過ごすことができています。

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危機感が自分にとって大切なものを教えてくれる

イスラエル人が家族を大切にする背景には、ユダヤ教徒ならではの理由があります。長い歴史の中で迫害を受けたり、土地の移動を余儀なくされたりすることの多かったユダヤ教徒は、家族がセーフティネットとなり、その助け合いの中で生きてきました。

また、家族あるいは自分がいつ死ぬかわからないと感じていることも、家族を大切にすることにつながっているのではないかと思います。ホロコーストで親族が犠牲になっていたり、祖父母が収容所にいたが何とか助かったがために自分や家族の生命があったりと、ホロコーストの記憶は、イスラエル人にとってまだ新しいと言えます。加えて、1948年の建国後、絶えず近隣諸国との間に紛争があり、18歳になると男女問わず徴兵制があり、退役後も予備役として1年に1回召集される(男性は51歳まで)というイスラエル社会の現実も影響しています。

「明日、自分や家族がいなくなるかもしれない」と考えた時に、家族より仕事を優先する人はほとんどいないでしょう。平和な日本では、このような危機感を日々抱くことはなかなかありませんが、その様な視点を持ってみると、自分の人生における優先順位を考えることができ、自然と自分や家族を大切にするライフスタイルを模索したくなるのではないでしょうか。

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※シャバット(安息日):ユダヤ教徒が国民の約75%を占めるイスラエルでは、ユダヤ教の暦日に則り日曜から木曜までがワーキングデーであり、金曜と土曜が週末にあたります。金曜の日没から土曜の日没まではシャバット(安息日)と呼ばれ、労働をしてはいけない日にあたります。どこまで戒律を守るかは人によりますが、労働の解釈には、車の運転、火をつける、電化製品のスイッチを押すなども含まれます。

一部のタクシー(パレスチナ系イスラエル人がドライバーのタクシー等)を除き、鉄道やバスなどの公共交通機関は動きません。レストラン、スーパーや娯楽施設などのほとんどが営業しません(パレスチナ系住民の多いエリアでは営業しているところもあり、世俗的なテルアビブでは一部のレストランやスーパーが営業しています)。

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二枚目の名刺 編集部

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