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インテリジェンスは2015年、人間としての深みと非連続な能力を開発する実践型研修プログラムとして、NPO二枚目の名刺で実施している、短期のNPOとの協働プロジェクト「サポートプロジェクト」を導入。2015年8月から11月にかけて若手のホープ3人をプロジェクトに送り込んだ。

そこには次世代のリーダーを輩出するための人事の徹底的なコミットがあった。企業の実践型研修として、サポートプロジェクトを機能させるため、どんな工夫をしたのか。本研修のプログラムオーナーであるインテリジェンスHITO本部人材戦略部人材開発グループ(現テンプホールディングス グループ人事本部組織開発部人材開発室)の樋浦武志氏に話を聞いた。

「はたらくを楽しもう」を体現する難しさ。挑戦する人材の育成

組織の拡大に伴う課題意識

インテリジェンスのスローガンは、「はたらくを楽しもう」。しかし、組織が大きくなり仕組みが整う中、社員は次第に、組織の中でやりがいや働く意義、それを通した成長実感を以前より強く感じにくくなりつつあった。人事としてはこの状況に強い危機意識を持っていた。我々社員自身が「はたらくを楽しもう」を体現できているのだろうか、と。

今後、会社が永続的に成長していくためには、どうありたいかという自身の内なる志を持ち、既存の枠を越えた挑戦ができる社員が必要になる。どうしたらそのような人材を育成できるのか。人事は、「セルフリーダーシップの開発」と「パラダイムシフトの実践」が必要であると考え、これを旗印に新しい人材育成プログラムを手掛けることにした。

NPO二枚目の名刺 サポートプロジェクトとの出会い

「セルフリーダーシップの開発」と「パラダイムシフトの実践」が可能な研修とはどんなものか。それを考える中で出合ったのが、「二枚目の名刺」のサポートプロジェクトだった。異業種の社会人5~6人でプロジェクトチームをつくり、NPOと一緒に課題解決に取り組む。しかも約3カ月という期間内に成果を出すところまでやり切るという実践的な部分に魅力を感じ、2015年夏、会社の人材育成プログラムとしてサポートプロジェクトの導入を決定した。

「サポートプロジェクトは、NPOへ提案するだけではなく、その提案に対して自分たちも動く、そして成果を一緒に導き出していく。ここが大きなポイントです。提案だけではなく、その先の行動にまでコミットするからこそ、お互いが関わり合うことを通じた多様性のリアリティーに価値が出る。異文化・非日常の環境だからこそ、既存の環境では得られない貴重な経験ができ、結果として一皮むけて現職に還元できる人間としての深みと能力を身に着ける体験を得る。これこそが大きな意義だと思ったのです。」

導入の3つのポイント

導入にあたり期待したポイントは3つ。1つは「志の源泉」を感じること。セルフリーダーシップを開発する、自身の内なる志を見つけるには、原点に触れることが一番の近道。NPOの代表の社会に対する情熱や行動力、突破力に触れることで自身の源泉を見つめ直し、これからの自分を見つけてもらうことを期待した。

2つ目は「多様性のリアリティー」。会社には様々なディビジョンがあるとはいえ、社員は似通った価値観を持っていた。そのような価値観が一致した同質性の高いメンバーではなく、異業種のメンバーが集まる混成チームにこそ、多様性のリアリティーを体験する機会を感じていた。

そして最後は「真剣勝負」。通常の研修にありがちな予定調和は一切なし。NPOと共に社会の変化を0から起こすことは、今の仕組みの整った組織では得難い非連続な成長機会の場だった。

プログラムを機能させる仕掛けを作る

「サポートプロジェクト」の導入にあたって、樋浦氏は、単にプロジェクトに社員を送り込むことだけを考えていなかった。組織の枠・価値観の枠を越えた研修効果を出したいと考え、人事としてどのように仕掛けていくかを考えていた。

まず重要なのは、誰に参加してもらうか。今回は、参加者の意志を何よりも大切にしたいと考え、公募型研修にした。希望者には手を挙げてもらい、樋浦氏が応募者一人ひとりと面談した。面談で聞いた内容は「なぜ応募したのか」「この経験をどう仕事に還元していくのか」「パートナーとなるNPOの事業推進にどう貢献できるか」、そして何より、「やり切る覚悟はあるか」。

「このプロジェクトは完全に業務時間外の活動です。今の仕事を抱えながらやり切れるか。意思、志を問いました。また、各事業部の人事からも見解を募り、インテリジェンス代表としてリーダーシップを発揮して活躍できるのは誰かという観点でも検討しました。選考ポイントを一言で表すなら、社会貢献への欲求より、成長機会への渇望が強い人材を選びました。」

そこから選ばれたのは3名。2015年度の全社新人賞を受賞した若手のホープ、森谷元さん(インテリジェンスビジネスソリューションズ コンサルティング統括部コンサルティングサービス部)、最年少でマネジャーに着任した油谷大希さん(キャリアディビジョン人材紹介事業部コマース&コンシューマー統括部)、そして新任女性マネジャーの金澤万梨香さん(キャリアディビジョンDODANext事業部DODAプラス部)。まさに会社の次世代を担うリーダーだった。

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(プロジェクトメンバーの写真:左から樋浦氏、金澤氏、油谷氏、森谷氏)

変化を生み出すための3つのデザイン

「実施にあたり、人事として大切にしたいことは1つだけ。変化を生み出すための体験の意図的なデザインをしっかりサポートしていこう、ということでした。」

それを実現するために樋浦氏は3つのキーワードを持っていた。

1つ目のキーワードは「WHYの刻印」。知識や手法といったWHAT・HOWではなく、なぜ自分がこのプログラムに参加しているのか。その確固たる理由や目的、意義を定め、常に自分が立ち返る場所を作らせることを重視した。このWhyを打ち込むため、樋浦氏はプロジェクトの事前に3人と社内キックオフを開催。どんな状況でも諦めることなく、自分を突き動かす源泉を明確にさせ、3人それぞれの想いや価値観を分かり合う場をつくった。

「ここでは、WHYの打ち込みを実施しました。WHYから考える以下の4つの問いです。今回のプログラムに参加する目的=「Why」は何ですか?それは、どういう自分でありたいからですか?そのために、どのようなスタンスでプロジェクトに臨みますか?そのために、あなたは何をしますか?この4つの問いに対する各自の答えが、意図から望む現実を創り出すうえで大切な源泉となるのです。」

キーワードの2つ目は「内省のミルフィーユ」。社内キックオフだけでなく、常に自分の立ち返るところを持ち続けられる仕組みを作った。例えば、定期的な内部中間報告の実施。プロジェクトが始まってから終了するまで3週間ごとに全員が集まり、進捗状況の共有と振り返りを定期的に実施した。

「報告を聞きながら、プロジェクトが始まる前の各自の源泉であるWHYを確認するこんな投げかけをしていました。『プロジェクトの期日ありきで置きにいっていませんか』『予定調和でプロジェクトを進めすぎていませんか』『掲げた自身のありたい姿に近づくための取り組みとして自分では何をしていますか』」

また、プロジェクト終了後には「この活動を通じて得たこと(能力開発ポイント)」「変われるきっかけになったこと(自己変革ポイント)」「その経験が現業で生かせること(価値変換ポイント)」は何だったのかを振り返り、事後面談を実施。さらに社内報告会も開催。参加者自身がプロジェクトの価値を自分で語ることで、プロジェクトを体験値として取り込ませるねらいもそこにはあった。

そして最後のキーワードは「関わり合いの包囲網」。樋浦氏は、プロジェクトスタート前、NPO代表に個別会いに行き、インテリジェンスとしてこの研修に参加する意図、参加者3人の想いを直に伝えていた。また、プロジェクト期間中は各プロジェクトのミーティングにオブザーバーとして参加し、彼らがどんな発言をし、どのようなスタンスで臨んでいたかをメモにとり、3週間ごとに開く社内中間報告会でフィードバックを実施。人事としても一緒に取り組むパートナーとして伴走し、第1期生の3人に最大限の惜しみないコミットメントを行った。

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(笑顔を交えながらお話する樋浦氏)

点をいかに線、面へと展開していくか

結果の末、今回のプロジェクトでは期待以上の成果を実現できた。プロジェクトに参加した3人には、チームを率いる中で今までとは違うマネジメントスタイルを身に着けることでリーダーシップの幅を広げることに繋げたり、お客様の言葉からその背景の想いまでを汲み取るコミュニケーションを取ることで、信頼関係の構築において質の変化が起こった。そして、その変化は、現場での数字にも表れつつある。この成果から、樋浦氏は、これからの仕組みづくりを構想している。

「当社は2013年にテンプグループに入りました。グループ会社数は80社を超え、従業員数は連結で約3万人以上となります。今後はインテリジェンスだけにとどまらず、この取り組みをグループ会社の全社員が参加できる公募型横断研修プログラムとして拡大し、会社の枠を超えてグループの社員同士がつながり合える機会創りとしても発展させていきたいと考えています。」

これからは、サポーター層、アクティブ層、コア層と段階的に発展できる取り組みを進めていく。サポーター層向けには、社内イベントとしてNPOや社会起業家を招いてソーシャルダイアログを開催。ここから社会と関わり合うことに関心を持つ人を増やすねらいだ。その中からアクティブ層を生み出し、ダイアログ参加だけでなく、実際にNPOと協働して社会実現活動をする中で自己変革に挑戦することを促す。最終的には、ソーシャルイシューの選定から協業団体とパートナーシップを結び、プロジェクトの企画運営全般を遂行できる推進者としてのリーダーシップを発揮できるコア層人材を育成することを目指している。

「社員が彩りある今を生きるうえで、豊かな成長を支援する機会創りのためにも、この取り組みを風化させることなく拡大、発展、進化させられる人材を社内で生み出していきたいと思っています。」

 

※後編「インテリジェンス プロジェクト参加者の声」へつづく

会社概要

株式会社インテリジェンス
本社:東京都千代田区丸の内2-4-1 丸の内ビルディング28F
創業:1989年
社員数:5,166名(有期社員含む、2016年3月末現在)
事業内容:転職支援、人材派遣、求人情報、アウトソーシングなど総合人材サービス
URL:http://www.inte.co.jp
(上記情報・肩書は、取材実施 2016年1月時点のもの)

注)本記事は、二枚目の名刺ラボ(2016/1/10開催)で樋浦武志氏が説明した内容と質疑内容をもとに作成しております。

(荻島 央江)

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