車いすの視点をキャリアやビジネスに活かす ―垣内俊哉さん

人とは違う自分の目線を価値に変える

「歩けないことをいつまでウジウジしてるんだ!営業マンとしてお客さんに覚えてもらえるのは大きな強み。車いすに自信を持て、胸を張れ!」

“バリア(障がい)をバリュー(価値)に”変えた、ひとりの青年がいる。株式会社ミライロの代表取締役社長・垣内俊哉さんだ。

骨が弱く折れやすい「骨形成不全症」のため、幼少期から車いすを使用していた垣内さんは、高さ106cmという車いすの目線から発想したアイデアをもとに、ユニバーサルデザイン(※あらゆる人が利用しやすい施設・製品・情報の設計)のコンサルティングを主な事業とする株式会社ミライロを経営している。

冒頭の言葉は、垣内さんが学生時代にアルバイトをしていたホームページ制作会社の社長からかけられた激励のメッセージだ。車いすで営業をする人は珍しく、客に覚えてもらいやすいため、気付けば入社3ヶ月で営業成績1位を獲っていた。

この出来事をきっかけに、車いすに乗っていることが強みにもなることを知った垣内さんは、車いすの視点だからこそ気付くことをビジネスにするべく、仲間たちと起業。多数のビジネスコンテストに応募し、1年間に13もの賞を受賞。障がい(バリア)を価値(バリュー)に変えることができる、と実感したという。

日本が100人の村だったら

誰もが暮らしやすい世の中に

今日本には、3400万人(総人口の約27%)の高齢者、788万人(約6%)の障がい者、1000万人(約8%)のLGBTの方が暮らしている。障がい、性別、国籍、年齢など、多様性への配慮が欠かせない社会なのだ。

しかし、いざ自分が当事者になってみなければ、社会のどの部分に不便があるのかは気付きにくい。あるいは気付いたとしても、どう対処すれば良いのかわからない。そもそも個人にできることも限られている。誰もが自分らしく暮らせる社会を実現するために、私たち1人ひとりにできることは何なのか。

「段差をスロープにするには時間もコストもかかる。でも車いすを安全に持ち上げられさえすれば段差は軽々越えられる。ハードは変えられなくてもハートは変えられる」

こうした想いから、垣内さんは障がいのある人や高齢者、ベビーカー利用者などへの適切な接し方を「ユニバーサルマナー」と名付け、一般社団法人日本ユニバーサルマナー協会を設立。同団体の代表理事として、自分とは違う人々の視点に立って行動するために、誰もが身に付けられるマナーの普及にも取り組んでいる。

さらに、海外からより多くの高齢者、障がい者、LGBTの方が訪日すると予想される2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、日本財団パラリンピックサポートセンターの顧問や東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会のアドバイザーに就任するなど、活動の幅を広げている。

「自分だからこそ気付くこと=自分だからこそできること」と言い換えることができるのかもしれない。人との違いから生まれた視点をより大きな価値に変えるために、“名刺”の数を増やしていく。こうした垣内さんの取り組みが、「誰もが暮らしやすい社会」につながっていくのだろう。

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※この記事は、「HEART&DESIGN FOR ALL」に記載の内容を一部抜粋し、作成しています。