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2016.11.22

「NPOのオウンドメディア、半年間やってきてどうだった?」ディレクターと編集者が本音で語る

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こんにちは!2枚目の名刺 webマガジン サムライト編集部です。

私たちサムライトとNPO法人 二枚目の名刺は、「2枚目の名刺 webマガジン」を共同運営しています。2016年の11月で、運営開始から半年が経ちました。

今回は、メディアのスタートから半年を記念して、実際のwebマガジンの担当者ふたりでこれまでの取り組みを振り返ることに。サムライト編集部でwebマガジンのコンテンツ制作に当たったディレクター・村野と編集者・豊城が、「ぶっちゃけ、半年やってみてどうだった?」を赤裸々に語ります!

■この記事に登場する人

・村野(むらの)
「2枚目の名刺 webマガジン」担当ディレクター
・豊城(とよき)
「2枚目の名刺 webマガジン」担当編集者

KGIがコンバージョンではなく、「態度変容」という難しさ

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豊城:まず、「二枚目の名刺」さんからオウンドメディアを始めたいとお話が来たとき、村野さんはどう思いました?……率直にお願いします(笑)。

村野:素直に、これまでにやったことのないことができそう、面白そうって思いましたね。
僕はこれまでディレクターとして、さまざまな企業のオウンドメディアに関わらせていただいてきました。一般的な企業がオウンドメディアを運営する目的って、多くの場合は売上の拡大や資料請求、予約……といったコンバージョンなんです。

豊城
:うん、そうですよね。コンテンツを通して商品のよさを知ってもらうとか、ECサイトに誘導するとか。

村野:そうそう。一方で、NPO法人の大きなミッション、つまりKGIは、メディアを通しての読者の態度変容です。二枚目の名刺で言うなら、「二枚目の名刺を持ちたい」と思う人が増えること。こういったミッションのメディアというのは運営したことがなかったので、サムライトにとってもチャレンジになるな、とワクワクしたというのが本音ですね。

豊城:なるほど。確かに、ウチにとっても新しい試みでしたよね。
そこからまず、二枚目の名刺を持ちたい人、すでに持っている人を応援するためのKPIを設定していきました。

村野
:そうですね。サイトのPV数もですが、もうひとつ、イベントカレンダーページへのアクセスというKPIは特徴的だったんじゃないかな。

webマガジンを読んでくださった方の態度変容のひとつとして、複業やパラレルキャリアに関わるセミナー、イベントに参加したい!と思ってもらえることが考えられます。そこで実際に足を運ぶためのヒントとして、まずはイベントページを見てもらおう、という意図でこのKPIを設定しました。

「信頼できる情報を発信するプラットフォーム」になるために

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村野:実際にコンテンツの制作に入ったのは、5月末からですよね。

豊城:
はい。制作にあたって、大きなコンセプトを2つ置きました。それが「一次情報しか載せない」「誰が発信するのかを明確にする」という2点。……これがね、すごく大変で(笑)。

たとえば、「有名人の○○さんがこう述べた」「△△の本によると~」といった切り口の記事は二次情報にあたるため、コンセプトに反する。そうなると、自ずとリサーチや取材に時間をかけた、リッチコンテンツが増えてきます。

イベントやインタビューでパラレルキャリアを体現されている方にたくさんお会いしたのは、大変でしたが、個人的にもいい経験でした。ひとつのメディアで大企業の役員の方から18歳の社長……それにお坊さんまで取材させていただけることは、今後もなかなかないと思います(笑)。

一次情報へのこだわりには、このwebマガジンを信頼できる情報だけを発信し続ける場にしよう、という二枚目の名刺さんの強い情熱を感じました。

村野:実際に制作したコンテンツのひとつがこれですね。

西口記事キャプチャ

豊城:……これ、いい記事ですよね(笑)。人材紹介会社で働きながら、がん患者を繋ぐSNS「キャンサーペアレンツ」を運営されている西口洋平さんの記事です。ご自身が35歳という若さでがんを発症された経験から、同じ境遇の仲間を探している人のためにSNSを立ち上げた……というお話をしていただきました。西口さんの行動力に元気をもらえ、「自分も何か一歩踏み出してみようかな」と思えるような記事になっていると思います。

村野:
これはまさに発信者の顔が見える、一次情報型のコンテンツですよね。Facebookを中心にシェアされたり(※)、西口さんのお名前で検索して流入してくる方が多かったりと、安定して読んでいただけている記事のひとつですね。

※公開後パーマリンクを変更したため、ソーシャルスコアはリセットされてしまっています

どんな企業とも組める、NPOならではの強み

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(↑近くに座っていた社長が時折、対談に混ざってくる図)

豊城:
じゃあ、肝心の、どんな成果があったか?という部分。
まだ半年なので道半ばとも言えますが、これまでに見られた成果としては、SNSでのシェアがすごく大きかったですよね。企業の協賛を得られたり、freeeさんとの協業が決まったのにも驚きました。


村野:
このwebマガジンへの流入経路として、Facebookを中心としたシェアが圧倒的なんですよね。これは、やっぱりメディアとしてかなり特徴的。エモーショナルな部分で共感を得られたというのは嬉しいですよね。

それに、ここまでさまざまな企業から協賛をいただくメディアはなかなかないので、僕も「二枚目の名刺 夏フェス」の協賛企業さんを見ながらかなりびっくりしていました(笑)。Webメディアを運営しようと思ったら、どうしても競合企業との差別化が必要になる。そういった隔たりがなく、活動に共感さえしていただければどんな企業とでも組めるというのは、NPO法人の強みだと再認識しましたね。オウンドメディアのあり方としても、いいな、新しいなと思っていました。

豊城:反対に、ここは難しかったなーという部分ってありますか?

村野:
うーん……かなり悩んだのは、読者のニーズや悩みを、いかに言語化するかですね。

二枚目の名刺 webマガジンを見にくる方って、それぞれに「今の仕事を活かしながら、他の経験もしてみたい」「スキルを活かして社会貢献がしたい」といった潜在的な欲求を持っていると思うんです。でも、それぞれのニーズが一点集中にはならないし、言語化するのもなかなか難しい。

たとえばグルメ系メディアだったら「グルメ+地名」、転職情報メディアだったら「転職」といった検索キーワードが容易に想像できるんですが、このwebマガジンの場合は、読者がどんなキーワードで調べてサイトに辿り着いてくれるのか、ちょっと想像しにくかったですね。“パラレルキャリア”という言葉もまだメジャーではないですし。

「必然的」にサイトに来る人と「偶発的」に来る人、どちらにも有用な情報を

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豊城:今後の課題としては、まさに今話したような部分が残っていますよね。「二枚目の名刺」に潜在的に興味を持ってくれていたり、何らかの悩みを抱えているユーザーがこのwebマガジンに辿り着いてくれるよう、検索流入の増加にも力を入れていく、という。

村野:そうですね。Facebookでたくさんシェアしていただいてるからそれでいいじゃん、とはならない。このメディアが目指している“二枚目の名刺を持ちたい人が立ち寄るプラットフォーム”により近づいていくためには、メディアとしての土台固めがまだまだ必要だと思っています。

SNSでシェアをされることで短期的なユーザー獲得はできましたが、継続的にサイトを見てくれるファンの方はまだ少ないだろうな、と。一般的な企業であれば、極端な話ファンが全然ついていなかろうが(笑)、問い合わせをしてもらう、というゴールがあります。でも、このwebマガジンの目的はそこではない。

ユーザーがコンテンツに出合うのは、「偶発的発見」「必然的発見」のどちらかです。前者はSNSなどで偶然記事を見つけて興味を持ち、アクセスするというパターンで、後者は自分から検索エンジンで何かを探してアクセスするパターン。このどちらの要素も強化していくことで、初めて本当のプラットフォームになれるんじゃないかと思います。

豊城:そうですね。私も、「会社の人が面白そうな記事シェアしてる」とアクセスする方にも、“パラレルキャリア”で検索してここを見てくださる方にも、どちらにとっても役に立つコンテンツをつくっていきたいと思っています。

村野:
「あってよかった」って思ってもらえて、自分でも「やっててよかったー!」って思えるような(笑)、そんなサイトに育てていきたいですね。これからも頑張りましょう!

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ライター

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カメラマン

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豊城 志穂
ライター
サムライト編集部