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「NPOこそメディアをやるべき」――コンテンツマーケのプロが語る、NPOとオウンドメディアの未来

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こんにちは、2枚目の名刺webマガジン サムライト編集部です。

このwebマガジンは、NPO法人 二枚目の名刺とサムライト株式会社が共同で運営しています。
私たちサムライトは、主にコンテンツマーケティング・オウンドメディア支援事業を展開するベンチャー企業なのですが……

……と、ここまで説明すると、大抵「なにそれ?」と言われます。
たしかに「コンテンツマーケティング」も「オウンドメディア」も、なんとなく聞いたことはあるけど、よく分からないですよね。「御社は何をされてるんですか?」と他業種の方に聞かれて、「ええと…」と説明しづらそうにしている編集部員をよく見かけます。

そこで今回は、サムライトの代表取締役・池戸聡に、「コンテンツマーケティングとは何か?」、そして「オウンドメディアとは何か?」をストレートに聞いてみました。

あわせて、このwebマガジン編集担当としてかねてから気になっていた疑問、「どうして日本にはNPOのオウンドメディアが少ないのか?」もぶつけてみることに。オウンドメディアに興味はあるけど、今までよく分からなかった…というNPOの方はぜひご一読ください!

◇お話を聞いた人

池戸 聡(いけど さとる)

サムライト株式会社 代表取締役CEO
2006年、新卒で株式会社セプテーニに入社。仕入れやプランニングを担当するメディア部門、スマートフォン領域の新規部門立ち上げやアプリ開発など、webマーケティングの第一線で働くも、2012年、「世界一周したい」と同社を退職。本当に世界一周をし、帰国後、サムライトに参画。現サムライト株式会社 代表取締役CEO。

コンテンツマーケティングとは、「自分ごと」にすること

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――池戸さん、単刀直入に聞くんですが、「コンテンツマーケティング」ってなんですか?

池戸:定義としては、「価値あるコンテンツを継続的に提供し続けることで、見込み顧客や顧客との接点を作り、理解を促し、興味・関心を持ってもらい、その結果、期待する行動を促すマーケティング施策」ですね。


―― ……難しいですよね?

池戸:そうですよね(笑)。分かりやすくするために、NPO法人のケースに置き換えてみましょうか。NPOにおける「見込み顧客や顧客」は、潜在的な支援者や寄付をしてくれる方。「期待する行動」は多くの場合、支援や活動への参加促進だと思います。

つまり、価値あるコンテンツを提供することで、支援者の方に「支援してみようかな」「自分も参加してみたい」と思ってもらうための施策が、コンテンツマーケティングです。


――なるほど…。いま一瞬分かりかけたんですが、「価値あるコンテンツ」でつまずきました。価値のあるコンテンツって、なんでしょう。

池戸:めっちゃ難しいこと聞きますね。ひとつ、すごくシンプルな答えを出すなら、「読者が自分ごと化できること」だと思うんです。

すこし前に、「保育園落ちた日本死ね!」という匿名ブログが話題になりましたよね。待機児童問題を指摘する内容で、ネット上のさまざまなメディアを通して拡散され、テレビや新聞も次々に報じ、最終的には国会で議題に上るまでになった。あれこそ「コンテンツの力」です。もちろん、書いた人はあれをコンテンツとは捉えていないと思いますが。

よいコンテンツには、社会的な課題を浮かび上がらせたり、それを読んだ人にも考えさせたりする力がある。そして、企業がそういった「よいコンテンツ」を提供し、読者と関係を築く場が「オウンドメディア」なんです。

日本には、NPOのオウンドメディアがほとんどない?

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――なるほど。いま「企業が」って言われましたが、オウンドメディアって企業だけのものなんでしょうか。

池戸:いえ、オウンドメディアは企業だけでなく、教育機関やNPOなどの団体にももちろん有効です。ただ、日本国内に限って言えば、オウンドメディアを活用できている団体はすごく少ない。NPOは、特に少ないです。例を挙げるなら、フローレンスの「スゴいい保育」、e-Education Projectの「トジョウエンジン」などでしょうか。


――でも、NPOってFacebookやブログで、積極的に発信をしているイメージがあります。

池戸:そうなんですよね。ただ、SNSやブログを通しての発信と、オウンドメディアですべき情報発信は違います

「私たちはこんな活動をしています」「こんなイベントに参加しました!」という自分たちの活動報告は、すでにNPOに興味があったり参加をしている読者には役に立っても、その手前にいる潜在層には響かない。そこを混合してしまっているNPOが多くて、正直、もったいないなあと思います。

一方で、海外ではオウンドメディアを上手に活用している好例が多いんですよ。
たとえば米国では、NPO法人のメディアであるProPublica(プロパブリカ) がオンラインメディアとしては初めて、2010年にピューリッツァー賞を受賞しています。米国はNPOのオウンドメディア活用において先進的で、米国内のNPOのうち、実に92%がコンテンツマーケティングに取り組んでいるというデータもあります。

――日本とアメリカで、どうしてそんなに事情が違うんですか。

池戸:やっぱり、文化の違いは大きいですよね。米国ではNPOの社会的地位が非常に高くて、新卒で就職先にNPOを選ぶなんてケースも普通にある。さっき例に挙げたProPublicaは、国内外の支援者から年間1000万ドルの寄付を受けて、それをもとに独自の調査報道を行っています。これに対して、日本ではNPOの活動資金のうち、寄付がわずか1割程度ですから。

「NPOは、活動そのものがコンテンツなんです」

NPOデータ

(日本政策金融公庫総合研究所『NPO法人の存在意義と経営課題』より)


――じゃあ、日本のNPOはあまり、オウンドメディアに向いてないんでしょうか……。

池戸:いえ、むしろ逆で、僕は日本のNPOこそもっと積極的にオウンドメディアをやるべきだと思ってるんです。

上のデータを見ても分かりますが、日本のNPOにとって一番の課題は、「事業収入の確保」。これに、資金繰りなどいわゆるお金の問題が続いて、次に多いのが「人材の確保・育成」です。つまり、NPOは社会的にとても意義のある活動をしているにも関わらず、なかなかお金や人が集まらない。

この悩みを解決できるのが、オウンドメディアを通しての発信だと思うんです。NPOにおけるコンテンツ、つまり伝えたいことというのは、NPOが向き合っている社会的な課題そのものですよね。

米国では、オウンドメディアを通して情報を発信することで社会的な課題を認識してもらい、そのNPOも知ってもらう、ひいては活動に参加してもらうということに成功している。こういったことがもっと日本でも広まっていけば、NPOはもっともっと活動しやすくなっていくはずです。

だってNPOには「この問題を伝えたい!」という強い思いがありますし、その問題の解決に向けて奔走している。言うなれば、活動そのものがコンテンツなんですから。


―― ……NPO、完全にコンテンツマーケティングやるべきじゃないですか。

池戸:本当に僕もそう思います(笑)。ただ、いざオウンドメディアを立ち上げようと思っても、「記事を書ける人がいない」「マーケティングにそんなにお金を割けない」というNPOは多いと思います。

そこで、サムライトは今回、NPO向けのサポートパッケージをリリースしました。
オウンドメディアの立ち上げ・運営支援はもちろん、イベント協賛、イベント共同開催なども含むパッケージなので、マーケティングで悩んでいるNPOの方には、ぜひお声がけいただきたいなと思います。

そして8月1日に、二枚目の名刺との共同開催で、NPOとオウンドメディアについてたっぷり語るイベントも行います。「オウンドメディア、実際どうなの?」と思われている方は、ぜひご参加ください!

◇イベント情報

2枚目イベント


二枚目の名刺×サムライト「NPOとスタートアップが手を組むと、どうなる?」

日程:8月1日(月曜日)19:00〜20:30(受付開始18:30予定)
会場:東京都渋谷区渋谷2-1-12 東京セントラル宮益坂上8階

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ライター

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編集者

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カメラマン

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豊城 志穂
ライター
サムライト編集部