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【イベントレポ】二枚目の名刺×サムライト「NPOとスタートアップが手を組むと、どうなる?」

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8月1日、東京・渋谷のサムライトのオフィスにて、二枚目の名刺とサムライトが共同主催したイベント「NPOとスタートアップが手を組むと、どうなる?」が開催されました。

この「2枚目の名刺 webマガジン」は、NPO法人 二枚目の名刺とオウンドメディアの運営支援を主事業とするサムライトが、パートナーシップを組んで運営しているオウンドメディア。

イベントではその事例をもとに、二枚目の名刺のメンバーとサムライトの代表が「NPO×オウンドメディア」について語りました。当日の様子を、サムライト編集部がレポートします!

○登壇者

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・安東 直美さん
2011年より二枚目の名刺の活動に参加。外資系企業のマーケティング部門を経て、2016年2月より二枚目の名刺の専任メンバーに。

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・池戸 聡
2006年、新卒で株式会社セプテーニに入社。仕入れやプランニングを担当するメディア部門、スマートフォン領域の新規部門立ち上げやアプリ開発など、webマーケティングの第一線で働くも、2012年、「世界一周したい」と同社を退職。世界一周から帰国後、サムライトに参画。現サムライト株式会社 代表取締役CEO。

「コンテンツ イズ キング」の時代、本当に発信すべき情報とは?

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最初の話題は、「そもそも、コンテンツマーケティングって?」。いまコンテンツマーケティングがなぜ注目されているのか、実際にどんな事例があるのかについて、サムライト池戸が語ります。
(コンテンツマーケティングの定義については、こちらの記事をご覧ください)

池戸:いま、“コンテンツ イズ キング”と言われるくらい、コンテンツマーケティングというものに注目が集まってきています。これは、あらゆる企業の広報活動においてコンテンツを磨きあげないと何も生まれないし、何も伝わらない、ということ。
最近の例で言うと、「保育園落ちた日本死ね!」という匿名ブログがバズを起こし、社会現象にまで発展するという事象がありましたよね。これはいかにコンテンツにパワーがあるかということをよく表した出来事でした。

では、どうしてこのような現象が起こったのか。その理由として、池戸は以下の3点をあげました。

1.デバイスの多様化…スマートフォンやタブレットの普及によって、いつでもどこでもメディアやコンテンツに接触できるようになった
2.SEO(検索エンジン対策)の考え方の変化…SEOがキーワードをいくつ盛り込むか、といった従来型のものでなく、コンテンツの内容重視に変化してきた
3.“共感”を重視する時代背景…ソーシャルメディアの普及によって、共感・感動といったものを起点にコンテンツが拡散されるようになった

池戸:つまり、ライフスタイルやメディア環境が大きく変化した結果、コンテンツがここまで重視されるようになってきたというわけです。
そんな効果的なコンテンツを発信するための自社メディアが“オウンドメディア”。これまでの広告は「企業が伝えたい情報」を顧客に伝えるという考え方でしたが、コンテンツマーケティングは「相手にとって役に立つ情報」を伝える、という考え方です。目に見える顧客だけでなく、未来の顧客を育成する手法でもあるんです。

コンテンツマーケティングは“魔法の杖”になりうるか

社会的な課題の解決をミッションとしているNPOと、読者にとって役立つ情報を発信する場であるオウンドメディア。両者は相性がいいように思えますが、実際にNPOがオウンドメディアを活用している事例は多いのでしょうか?

池戸:アメリカでは全NPOのうち92%がコンテンツマーケティングに取り組んでいるのですが、日本はとても少ない。現状、僕が確認できているのはe-Educationの「トジョウエンジン」、フローレンスの「スゴいい保育」の2つくらいでしょうか。
コンテンツマーケティングってどうしても“魔法の杖”のような施策に思われがちなんですが、実際にメディアを運営するのって本当に大変なんですね。コストもかかるし、何よりも続けていく覚悟がいる。

よくある失敗が、メディア運営の目的が不明瞭であったり、短期で成果を追い求めてしまう、自分たち目線のコンテンツばかり作ってしまう…といったケース。それに、チームビルディングができていないメディアもだめですね。絶対、過疎っちゃう。
その代わり、きちんと読者に寄り添ったコンテンツを継続的に制作していくことができれば、コンテンツマーケティングはたしかに“魔法の杖”になりうると思います。

「一次情報やファクトのみを掲載する」という強いコンセプト

そんなコンテンツマーケティングを、NPOが実践してみたらどうなるのか。二枚目の名刺の安東さんは、オウンドメディア「2枚目の名刺 webマガジン」の運営を始めたきっかけについてこう語ります。

安東:私たちは、本業以外に二枚目の名刺を持つという働き方、いわゆる「複業」や「パラレルキャリア」を支援しているNPOです。「2枚目の名刺 webマガジン」を立ち上げたのは、これから二枚目の名刺を持ちたいという人たちが訪れるプラットフォームのような場所を創りたい、という思いがあったからです。
寄付の確保や支援者の確保を目標にしているNPOもたくさんありますが、私たちはどちらかと言うと「メディアを通して、活動を支援しようという社会の雰囲気を作る」ことに目標を置きました。

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その中でサムライト編集部との企画会議でも何度も話題に挙がったのが、「一次情報やファクトのみを掲載する」というwebマガジンのコンセプト。いわゆる「まとめ」などのキュレーション記事を掲載するメディアも多い中で、どうしてこのようなコンセプトを掲げたのでしょうか。

安東:一次情報しか載せないというコンセプトについては、結構、議論もしたんですね(笑)。私たちのwebマガジンがとても大事にしているのが、“誰が”その情報を発信しているのかという部分。書評であれば“誰が”“なぜ”その本を選んだのか、という部分が曖昧だと、その情報が有益かどうか分からないし、きっと琴線に触れないだろうなと思ったんです。
そのために、メディアを立ち上げる前にはターゲットとペルソナ(より詳細なターゲットのプロフィール)、そしてコンテンツの方針について徹底的に話し合いました。

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実際にメディアをリリースしてみると、やはりインタビュー・対談といった一次情報へのアクセスが多い結果に。実例として、「副業を解禁!? ロート製薬に聞く人事戦略の舞台裏」の記事が話題にあがりました。

安東:ロート製薬が副業を解禁した、というニュースはかなり話題になりましたよね。ただ本当はそれだけでなく、“企業としてのコンセプトを変えます”というもっと大きな企業変革をされていた。キャッチーなところだけが先走ってしまっている印象があったので、そうでない裏側のストーリーも丁寧に伝えたいな、と。

メディアのリリースから3ヶ月、その反響は

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「二枚目の名刺webマガジン」のリリースから約3ヶ月。メディアを立ち上げたことでどんな反響があったのでしょうか?

安東:これはNPOだからかもしれませんが、さまざまな企業や団体から、“こんなこと一緒にやりませんか”と連携を希望していただくことが多くなりました。それに、メディアを持ったことで『取材』ができるようになったので、いろんな場所に行きやすくもなりましたね。

ここで、実際にメディア協業が決まっているクラウド会計ソフト「freee」の中山さんからもコメントが。

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中山:NPOさんは行動力というか、アクションの熱量がすごいなと感じました。「経営ハッカー」(freee社が運営するオウンドメディア)と「2枚目の名刺 webマガジン」の協業のお話をさせていただいてからまだ1ヶ月ほどなのですが、思ったよりもめちゃめちゃアクションしてくれるな、と嬉しく思っています(笑)。

Web全盛時代、NPOが生き残るためにはオウンドメディアの力を

最後に、安東さんと池戸はイベントをこんな言葉で締めくくりました。

池戸:いまはもう、誰でも、どんな企業でもメディアを持てる時代です。そんな時代に発信をしないというのは本当にもったいない。最初からオウンドメディアを立ち上げなくとも、フェイスブックやツイッターなど、小さなところからでもなにかを発信していけば、豊かになっていくんじゃないかな、と思います。

「2枚目の名刺webマガジン」は、SNS経由でのメディア流入が80%なんです。普通のメディアは検索キーワードからの流入がほとんどなので、かなり特殊な状況。これは、NPOが扱っている社会課題というものがまだまだ顕在化したニーズではないということ。だからいかに共感を呼び、ファンをつくれるかがNPOが運営していくメディアにとってのキーワードなのかな、と思います。

安東:オウンドメディアをやってみて、NPOとしての活動はもちろん、広報活動も同じくらい大切だな、ということを実感しています。NPOの活動の半分くらいは広報なんじゃないかな、と。freeeさんもそうですが、横のネットワークが増えていくことも、オウンドメディア運営のいいところですね。

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まだまだNPOにおける国内の事例は少ないものの、情報発信の効果的な場であるオウンドメディア。短期的な成果を求めず、地道にコンテンツ制作を続けていけば、ファンや潜在的な支援者も少しずつ増えてきます。

コンテンツマーケティングに興味が湧いたNPOの方は、フェイスブックやツイッター、ブログなど、まずは小さな場所からでも、発信を始めてみてはいかがでしょうか。オウンドメディアを本格的に立ち上げたい!と思ったら、ぜひサムライトにお声がけくださいね。

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豊城 志穂
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